4/25/2010

Une sensation

Une sensation

曲名:April in Paris
アルバム:Charlie Parker with Strings
: The Master Takes

パリ。
歴史と文化、そして自由に溢れる街が春の到来を祝う「復活祭」で賑わい、
多くのマロニエの緑によって包まれるこの季節が一番美しいそうです。
パリの道(通り)には全て名前がついており、並木のある大通り(Avenue:アヴニュー)
そして細い路地で車の通れない石畳の道(Passage:パッサージュ、Allee :アレ)等
と呼び名が違う点など自然との調和がとれて美しい街と云われるのにも納得出来ます。

そんな美しい街並みを歌った曲" April in Paris "。
エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングが唄っているものが有名ですが、
今回はプロデューサー:ノーマン・グランツによるアルト・サックス奏者:
チャーリー・パーカーとストリングスのセッション。

パーカーとの融合により一見地味なストリングスが豊かなハーモニーとメロディが浮き上がり、
パーカーのスピード感溢れるスリリングなアドリブをより一層引き立てている点は
恐らくノーマン・グランツが演奏者の力量を見抜いた故のアイデアだったと思います。


ジャズが他の音楽と明らかに違う要素として「即興性(アドリブ)」が挙げられる。
「be-bop」以前の音楽は作曲者の意図を細かく譜面に記譜することにより
演奏者に指示していたのに対し、「be-bop」はそれらの譜面を「コード・ネーム」
と云う記号化・簡略化することにより、演奏者の解釈によって解体・再構築する事が
出来るようになり、より自由度の高い演奏が可能となった。

更に史観的に背景を考えるとアメリカは第二次世界大戦中であり、徴兵を断った(逃げた?)
黒人ミュージシャン達がストリート、アンダー・グランドより発生した点も非常に興味深いです。

その後のモダン・ジャズの発展を予感させるパーカーの演奏、
新しい季節の始まりの「予感」を感じながら聴いて頂きたい1曲です。