12/06/2009

今年出合った音源



気が付いたらもう12月。
皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか?
今回は【私が今年出合った音源(アナログ、CD)ベスト3】を紹介したいと思います。



では最初の1枚目は....

・【 HUGO DIAZ / ANTOLOGIA Vol,1(1952-53) Acqua Records AQ-235 】

ハーモニカでタンゴやフォルクローレを演奏するミュージシャン【ウーゴ・ディアス】。
幼少期に交通事故に遭い視力を失い、視力回復の為の闘病生活時期に両親から買い与えられたハーモニカに興味を持つ。病状が回復後音楽家へと歩んでゆく。
当初はベーシストとしてプロ音楽家として活動していたが、1950年に彼をリーダーとしたバンド「ウーゴ・ディアスとチャンゴス」を結成し、同時に本格的にハーモニカ奏者として活動を始める。

ハーモニカと云う楽器の音楽家とは一見物珍しい感じもしますが、アルゼンチンでは多くのハーモニカ演奏者がいます。バンドネオンの演奏者:Astor Piazzollaも最初に買い与えられた楽器もハーモニカだったそうです。ハーモニカと云う楽器は鉄で出来たリードを吹いたり、吸うことによりリードを振動させ音を出すリード楽器で、何処か物悲しいマイナー調のメロディにリード楽器特有の音色が心に染渡る素晴らしい1枚です。未だ購入していませんがVol,2も販売しており、Vol,1 2共に2枚組みです。




続く2枚目は...同じリード楽器:サックスフォン演奏者の1枚。

・【 SONNY ROLLINS TRIO in Stockholm in 1959 / DIW Records DIW-25008 】

皆様ご存知のソニー・ロリンズの1枚。1984年に発売されたこのアルバムですが何故か持っていませんでした...自分がネット販売による音源の購入はしていないせいでしょうかね?
1958年10月 CONTEMPORARY Records の【 Sonny Rollins And Contemporary Leaders (M-3564) 】を吹き込み後、彼はnewyorkのジャズ・シーンから突然消え去り3年間消息不明と言われていた時期にスウェーデンの国営放送局の番組に出演したテープからカッティングされたレコードです。
テーマの歌いまわし、メロディをフェイクしながらアドリブへと展開していく所など随所にアイデアが光り、渡欧前にblue noteに吹き込んだアルバム【 NEWK'S TIME (BLP-4001M) 】でのドラマー:フイリー・ジョー・ジョーンズとのDUO曲「The Surrey With The Fringe On Top」に劣らない、トリオならではの絶妙なバランス感が聴く者を惹きつける1枚です。

人目をはばかる様にヨーロッパへ渡り音楽家として再び自分を見つめ直し、更に音楽表現に磨きを掛け、後に再びnewyorkに戻り橋の下で練習を日々の最大日課として怠らなかった話はあまりにも有名だが、同時に彼は精神力を養っていたとも言えるのではないでしょうか?




そして最後はサックスフォンと同じ木管楽器:クラリネット奏者の1枚。

・【 PEE WEE RUSSELL QUARTET with MARSHALL BROWN / ASK ME NOW! impulse Records A-96S(MONOはAS)】

PEE WEE RUSSELのimpulse盤?と思う方もいらっしゃると思いますが....勿論、RiversideのJazz Archives series(12inch)、Contemporary Jazz series(10inch)、Commodore盤などに参加したアルバムも最高の内容ですが....上記のレーベルの方を優先して購入していた結果でしょうかね?多分....。

このアルバムは彼が62歳の1968年の吹き込み(だと思います)。
アルバム・タイトルからも解ると思いますが、モンク(2曲)、エリントン(1曲)コルトレーン(1曲)、オーネット・コールマン!(1曲)の曲に取り組んでいる姿勢にまず脱帽。クラリネットの楽器ならでは音色を生かしたメロディ、そして広いレンジ感とダイナミクス、奇異を狙った感じをさせないユニークな音選びのアプローチは流石である(幼少の頃彼は、和音(コード)やスケールの練習が嫌いだったそうだが....)。
Riverside盤やCommodore盤と比べると若干アルバムコンセプトが前に出てくる感は否めないが、いぶし銀の演奏が楽しめる1枚です。


                                ●●●●●●●●●


インタビューでソニー・ロリンズはこう語っていた

「もう少しで自分の音楽に手が届きそうだ...」


70歳を過ぎても今なお、常に歩みを止めず進むロリンズ。
60歳を過ぎ自分よりも下の若い世代の音楽に興味を持てる柔軟なPEE WEE RUSSEL。
自分も今年1つ歳を重ねたが、常にニュートラルな感覚を持ち自分の進む道を「寄り道」しながら歩んでいければ...その為には日々の努力が必要だ.....。



来年は何を重ねるのだろうか?